憑巫(前編)/柴田梢※同人CGノベル時は大正、華やかなりし桜花の時代。
明治が時代の幕開けならば、大正は春のうらら。人々は喜々として西洋文化を受入れ、急激な進化を遂げました。
蒸気機関がうなりを上げ、乙女たちはダンスパーティにあこがれ、紳士たちは赤レンガに踵を鳴らす──
それはまさにロマンあふれる時代でございました。
なお、女学生の袴姿と、我々が愛するブルマの到来もこの時代です(言っておきたかった
そして大正は光と闇が共存する不思議な時代でもありました。
ここで言う闇とは魔物、異形、魑魅魍魎のことです。
ガス灯の影に踊り、夜ごとガラスを指で弾き、レンガの隙間から乙女たちをつけ狙う…。光と歌があふれても、しんとした闇には必ず彼らの気配があったと言われております。
ではここでジャケットを振り返ってみましょう。
帝都物語を回想した方もいるのではないでしょうか。和のたたずまいに西洋姿の女中、おぞましい異形の構図がインモラルですね。
これぞ変態的大正ロマンの真骨頂。透きとおった闇が美しささえ感じさせます。
ちなみに表題の憑巫(ヨリマシ)とは、依代と似たようなもの。
しかしここで言う憑巫は、どちらかといえば「異形が人間を利用する」「人間を苗床にする」といった意味合いが強うございます。
さて…本作の舞台となりますのは、とある富豪のお屋敷。
そこに仕える女中が神社の宮司に助けを求めるところから始まります。
「お屋敷に憑き物がいます」──
聴くところによると使用人たちが精気を失い、とつぜん奥様がおビッチ化したりと、不可解なことが起こっているというのです。
宮司たちがお屋敷に出向きますと、そこには虜になった使用人たちと、セクシャルなスパイディ・ウォークのマダムが。
「蜘蛛の魍魎か」
それはレディに憑依し、男性をかどわかして精を貪る淫猥な妖怪だというのです。
宮司たちはさっそく退魔の業に取り掛かりますが…?
肉塊と化した使用人たちの上を這いずる奥様。
ああなんと美しいお方でしょうvV(蜘蛛ってなに
この妖しさ、美しさも蜘蛛の力なのでしょうか。
それでも わたくしは おそれない(結婚まっしぐら
妖怪? わたくしのラヴでテッカテカにしてやるでございます。
これは幻覚なのか、新たな妖怪なのか。いずれにしても女中が大ピンチでございます。
…おや?よく見ますと、宮司がお連れになっていた巫女のようですね。
あわれ、女中は丸呑みに。さっそくお召し物が溶けつつあるようです。
そこにまたしても妖怪が…。
…
わたくし、先ほどから思っていたのですが
みんな おしりまっしぐら(おのれ
敵ながらあっぱれでございます。
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